認知症と歯周病の関係性?
認知症には複数の種類がありますが、その中でも代表的なものとして「4大認知症」があります。「4大認知症」とは、アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型の事を指します。(「4大認知症」以外にも様々なタイプの認知症があります。)
その中でも患者数が最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積することで発症します。アミロイドβというたんぱく質は、健康な人の脳にも存在しますが、短期間で排出されます。しかし、何らかの理由で排出されずに蓄積すると、脳細胞が壊されて、脳の機能が低下してしまうのです。
アミロイドβというたんぱく質が蓄積する原因は、完全に解明されていませんが、アルツハイマー型認知症と歯周病の関係について研究している九州大学らが行ったマウスを使った研究で、歯周病菌がアミロイドβの産出・蓄積を促進させるメカニズムがわかりました。
本来は、免疫細胞が歯周病菌を攻撃し減滅させて、体を守りますが、たくさんの歯周病菌がいると、免疫細胞がそれを過剰に攻撃し、炎症が起こります。その炎症物質が、免疫細胞自身を刺激してアミロイドβというたんぱく質を作り出すことがわかっています。
歯周病菌は、全身に巡ることから脳以外の部分でもアミロイドβを作り出し、それが、血液に乗って、脳内に取り込まれます。
その結果、脳内にアミロイドβがたまり、記憶障害などを引き起こし、アルツハイマー型認知症の発症につながるという可能性があるという事です。
認知症にはさまざまな要因が考えられますが、その1つの要因として歯周病も関係していると考えられます。アルツハイマー型認知症だけでなく、そのほかの全身疾患を予防するためにも歯周病を治療・予防することは、非常に重要になると思いますので定期的な検診は必要な事だと私は思います。