• 診察・相談のご予約
    0254-22-5505
  • 診療時間
    月~金9:00~12:30 / 14:00~18:30
    (土曜日は12:00まで)

アルツハイマー型認知症にどう対応するのか。そして歯科医師の役割とは・・・

 高齢者の義歯の咬み合わせをきちんと治したり、新義歯を装着すると、「急にすごく頭がはっきりして、元気になった。」「以前はあまり食べなかったが、最近は食欲が出てきた。」「色んな事に興味が持つようになった。」など患者さんからお話を聞くことがあります。
 義歯だけでなく、差し歯が入っていなかったり、不適合な金属の咬み合わせの不調和が認められた患者さんをきちんと治療すると、「以前は食べる時、どこで食べようか悩んでたけど、ちゃんと噛めるようになり、咬み合わせが気にならなくなった。」冗談で「先生のおかげで太ってしまいました。」と笑顔で言われることがあります。
 このような事を言われると歯科医師冥利につきるのですが、
実はその裏に大きな問題があると私は考えております。

 世界一の長寿国となった我が国は、更に超高齢化が進んでいくのは明らかであると思います。
そこで問題の一つとなるのが、激増する認知症の対応です。

 認知症のなかで最も多いのがアルツハイマー型認知症です。
症状全体の60%以上を占めるため、認知症と言えばアルツハイマー型を思い浮かべる人も少なくありません。
 アルツハイマー型認知症の特徴としては、女性の患者が多く、被害妄想や暴言・暴力、徘徊などに発展する可能性もあります。
アルツハイマー型認知症になる原因は、脳の中にアミロイドβ呼ばれる不要なたんぱく質が溜まってしまうことです。
それによって、神経細胞が変性し、死滅します。
そのうち脳の海馬や頭頂葉などが萎縮して、認知症の症状が出てくるようになります。

 アルツハイマー型認知症の代表的な症状は物忘れですが、加齢による物忘れと間違えられやすく、初期症状を見逃す恐れがあります。
しかし、アルツハイマー型認知症は初期段階で治療を開始することで、その進行スピードを遅らせることができます。
 アルツハイマー型認知症になると、同じ話を何度もしたり、物の名前が一致しなくなるようです。
 アルツハイマー型認知症と咬み合わせの何が関係あるのかと思う方もいらっしゃると思いますが、大いに関係があります。

 咬み合わせの不調和は、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβを脳内に大量に増加させ、更に咬合の改善は、脳内のアミロイドβを減少させることを明らかにした研究が岡山大学の森田グループの江國先生のラットを用いた原著論文より発表されています。
 逆に考えると、咬み合わせの改善を行えばアルツハイマー型認知症の有効な予防法と治療法になる可能性がありますし、咬み合わせの意義と歯科治療の重要性を示すものであると思います。
このような事を考えると、歯科業界が国民に対して果たせる役割は非常に大きいと私は考えます。

ページの先頭へ